Dream
「ん?
良いじゃん別に。
俺らデートしているんだしさぁ」
「デートって!
デートって、好き同士の男女が、出かけることを言うんでしょ!?」
「…固いな言い方」
「ほ、本に書いてあったんですぅ!!」
恋愛小説を書くため、少々恋愛小説を書いて読んだんだ。
それでデートについて説明されていたから…。
「本当に本が好きだなぁ」
「うん!大好き!!」
「なら絶対気に入ると思うんだぁ」
そう言った桐野くんは、私の腕を掴んだまま、ドンドン進んでいく。
来たことがないと言っていたくせに、まるで1度来たことがある人みたいに。
「桐野くん。
ここに来るの、初めてだよね?」
「そうだって、さっき言ったじゃん」
「…変」
「はい?」
「じゃあ何で道知っているの?」
「あー…。
前にネットで見たんだ。
それで覚えた。
実際に来たのは今日が初めて」
そういえば、ショッピングモールのサイトに、店内の案内図が載っているとか、クラスの子が話していたっけ。
それでよく覚えていられるなぁ。
もしかして桐野くん、こう見えて結構頭良い?