Dream






すると桐野くんはふっと微笑んだ。



「やっと笑ったなユメ」

「え?」

「最初会った時は笑っていなかったのに。
今じゃ笑顔で、その上お礼まで言って。
どこが口下手なんだよ」



…確かに。

桐野くんの前では、カタコトとかならないし、挙動不審にもならない。




「友達出来ないって言っただろ?」

「うん」

「友達はそう簡単には作れない。
話しかけてくれる奴がいると良いけど、今回みたいにいない場合もある。
友達が出来る奴は、そこで笑顔で自分から話しかけるんだ。

自分は人と話すのは苦手だとか言って、話しかけるのをやめたら、ユメみたいに友達は出来ない。
ユメの場合、自分から壁を作っているんだ。

その壁をとっぱらってしまえば、ユメにも友達出来るはずだよ」




桐野くん…。

それで私をデートとかって言って連れだしたの?



「ユメなら友達出来るよ」

「でも私…、カラオケとかショッピングとか苦手で……」

「確かにカラオケは、親しい奴じゃないと行けないって人は多いよな。
いきなりカラオケは難しいと思う。
でも、買い物ぐらいなら行けると思うけど。

洋服に興味ないってユメ言ったけど。
興味ないなら、友達が買うのをただ眺めていれば、それは立派なショッピングになると思うけどな。

もしかしたら、その友達がユメに合う洋服を探してくれるかもしれないし。
興味なくても、洋服着なくちゃ外出歩けないし」




そりゃそうだろうな。

洋服着なかったら、変質者だよ。










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