Dream
「……」
「ユメ?」
「…あ、ゴメン。何?」
「どうしたんだボーッとして」
ボーッとしていたわけではない。
髪を上げる桐野くんが、綺麗だったんだ。
それに見とれてしまったんだ。
…絶対、口が裂けても言わないけどねっ。
「な、何でもないよっ」
「…そうか?なら良いんだが。
何かあったら言えよ?
相談に乗るからな」
「ありがと」
桐野くん、優しいなぁ…。
何でこんなに優しいんだろう?
『ピロリロリン♪』
良い空気をぶち壊す、私のスマホの音。
今ほどこの音を恨むことはないだろうな。
てかこの音は…。
小説投稿サイト『クローバー』に投稿している私の小説【Dream】に感想が来た時鳴るように設定してある音だ!
私はクエスチョンマークを浮かべている桐野くんの視線を浴びながら、メールを開く。