Dream
「…合ってます。
てか桐野くん、何で小説大賞が行われていたこと知っているの?」
「あー…。
実は俺、そのサイトよく見るの」
「え?」
「投稿とかはしていないよ。
俺国語とか苦手だからさ。
ユメの作品は知らなかったけど、小説大賞のことは知っていたよ」
そうなんだ。
てかよくネットいじるなぁ。
ショッピングモールの案内が出来たのも、ネットで見たからって言っていたし。
「俺小説とか読まないけど、『クローバー文庫』の本は読むんだ。
だからこの間、ユメに別のところ見ていても良いよって言われたけど、俺は『クローバー文庫』の場所から動かなかったの。
漫画とかも読まないから、本屋で行こうと思う所がなくてさ」
だからか…!
私に合せているのかなって、申し訳なくなっちゃったよ。
よく見ると、桐野くんは両手に本を抱えていた。
「何の本?」
「え?
あ…いや…これは……。
別に何でもないからっ!」
いきなり慌てたように桐野くんは早口で言うと、急いで本棚の間に引っ込んでしまった。
気になった私は後を追いかけたが、桐野くんの行動は素早く、すでに本をしまってしまった。
「何の本だったの?」
「ユメには関係ないから…」
…何よ、それ……。