Dream
女の子っぽい名前なので、私はマドカと素直に呼べた。
…桐野くんは、桐野くんなのに。
本人は『俺のことも大貴って呼んでいいから!』って言っていたのに。
結局呼べないまま、私は桐野くんと会えなかった。
…最後ぐらいは、呼んでも良かったのかな……?
「夢子ちゃん?」
「…あ、何?藤崎くん」
「マドカだって」
「あ…ごめんねマドカ」
「良く出来ました」
小さい子を扱うかのように、マドカは頭をなでてくれた。
優しい手つきで、ホッとする。
けど。
どこか私は物足りなさを感じていた。
この手が、
彼の手だったら良いのにって。
…思う自分がいる。
「マドカ、妹さんへのプレゼント、これはどうかな?」
「夢子ちゃんセンス良いね!
確かにこれなら、妹も喜ぶかも!」
私はピンクのハートが揺れる、ネックレスを選んだ。
マドカも気に入ってくれたみたい。
「じゃあ僕買ってくるから。
ちょっと待っててもらえる?」
「わかった」
マドカがレジへ向かい、私は店の外で待つことにした。