Dream
「…関係ない、か」
桐野くんは寂しそうに微笑んだ。
その顔、反則。
何でそんな顔するの?
ゴメンってあの日行って出て行ったのは、桐野くんの方でしょう?
…そんな顔しないでよ。
「ユメ、彼氏出来たんだ」
「…まぁね」
「そっか」
桐野くんが笑ったところで、私と桐野くんの間に、マドカが立った。
「どちら様ですか?
夢子ちゃんに何か御用ですか?」
そう言うマドカの目も声も冷たい。
いつも笑顔で優しいってイメージのある彼だけど、こんな怖い声も出せるんだ。
「…何も用はないよ」
桐野くんはフフッと怪しく微笑む。
「ならナンパですか?」
桐野くんの茶髪と前髪だけオールバックを見たマドカが、桐野くんはチャラい人だと判断したらしい。
相変わらず、首にはもこもこがついた服を着ていた。