Dream
「…知ってるぅ?
よく結婚式でお幸せにって言うでしょぉ?
でもそれは、喧嘩や離婚などがあるから、そんなことがないようお幸せにって言うんだってぇ。
聞こえは良いけどぉ、それってぇ、喧嘩や離婚を前提に言っているよねぇ。
はぁ~…最悪だねぇ」
ブスッと音を立てながら、ミナはオムライスをスプーンですくう。
もっとオムライスを大事にしなさいよ…。
「聞けば聞くほど不思議な人ね。
夢子のこと好きなら、お幸せになんて言わないと思うわ」
パリンッとまるでウサギのように、香枝はサンドイッチを食べる。
私も冷凍食品のハンバーグを口へ入れた。
はぁ…。
桐野くんは何がしたいんだろう?
「…ユメ」
…は?
裏庭に突如響いた声。
私を“ユメ”と呼ぶのは、1人しかいない。
「桐野くん…!?」
ひょこっと、木の影から、桐野くんが現れた。