Dream
☆夢子side☆
私が桐野くんに連れられたのは、例の図書室。
「桐野くん…。
何の用なの?」
「ん?
ユメに聞きたいことあってさ」
桐野くんは私の背を壁にした。
そして右耳の横に、手をトンッ…と当てた。
壁ドン…?
これがリアルの…壁ドン……?
目の前には、桐野くんの整った顔立ちがある。
綺麗な二重の瞳は、相変わらず黒い。
「昨日のマドカって奴について、説明してもらおうか?」
「…ッ」
「答えられないなんて、言わせないから」
「…よ」
「え?」
「…私だけ教えるなんて……。
可笑しいよ…そんなこと……」
桐野くんは、何も私に教えないくせに。
私だけ教えるなんて、そんなの可笑しいよ。