Dream







「…良いから答えろよ」

「やだ…」

「答えろ、ユメ」

「やだっ…」





珍しく…と言ったら失礼なんだろうけど。

珍しく真剣な顔で、桐野くんは私を問い詰める。

黒い瞳に見つめられて…。




「マドカは、藤崎マドカは、私の彼氏っ!」



私は素直に言ってしまった。




「…彼氏……」

「そうだよ。
桐野くんには、関係ないでしょ。
だって私たちは、“ただのトモダチ”なんだから」

「…ユメ」

「あぁ…トモダチじゃなかったかな?
だって桐野くんは“トモダチ”の私に、言ってくれないもんね」

「ユメっ!」

「自分のこと何も言わないくせに、私のことについては知りたがるんだ。
そんなの可笑しいに決まっているよ。
…自分のこと話してから、私を聞いてよ……」



ポロッ…と涙がこぼれた。



嫌だ…泣きたくない……。

何で私、桐野くんの前で、こんなに泣くんだろう?




これじゃ私…

桐野くんのこと…

今でも好きみたいじゃない……。







< 66 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop