Dream
「…良いから答えろよ」
「やだ…」
「答えろ、ユメ」
「やだっ…」
珍しく…と言ったら失礼なんだろうけど。
珍しく真剣な顔で、桐野くんは私を問い詰める。
黒い瞳に見つめられて…。
「マドカは、藤崎マドカは、私の彼氏っ!」
私は素直に言ってしまった。
「…彼氏……」
「そうだよ。
桐野くんには、関係ないでしょ。
だって私たちは、“ただのトモダチ”なんだから」
「…ユメ」
「あぁ…トモダチじゃなかったかな?
だって桐野くんは“トモダチ”の私に、言ってくれないもんね」
「ユメっ!」
「自分のこと何も言わないくせに、私のことについては知りたがるんだ。
そんなの可笑しいに決まっているよ。
…自分のこと話してから、私を聞いてよ……」
ポロッ…と涙がこぼれた。
嫌だ…泣きたくない……。
何で私、桐野くんの前で、こんなに泣くんだろう?
これじゃ私…
桐野くんのこと…
今でも好きみたいじゃない……。