Dream
「行こう夢子ちゃん。
もう今度から、僕の傍を離れないで」
マドカは私の肩を抱いた。
それを桐野くんが見ていると思うと…。
凄く…辛い……。
何で…?
「藤崎マドカくん」
突然桐野くんはマドカを呼んだ。
マドカは嫌そうな顔をしながらも振り向いた。
桐野くんは相変わらず余裕な笑みを浮かべていた。
桐野くんはわからないのだろうか?
マドカが痛いほど放つ、警戒のオーラに。
「何の用だ?」
「俺から1つ忠告」
「忠告?」
「うん。
…ユメを愛しているなら、ユメのこと、もっと知りなよ。
ユメが哀しい顔見せないようにさ…」
「…んなのわかっているし。
余計なお世話だ、このストーカー野郎」
「ストーカーじゃないんだけどなぁ」
カラカラと笑う桐野くん。
マドカは強く私の肩を抱き、図書室を出て行った。