Dream
だから?
だから桐野くんは、自分が何者なのか話さなかったの?
自分が…
男の子を死なせた犯人だから…。
「桐野は決して人殺しではない。
でも、危険人物だってことは…覚えていてほしい」
切ない目で、マドカは私に訴える。
あの綺麗だけど黒い瞳を持つ桐野くんとは、正反対の美しい瞳。
「ごめん…。
夢子ちゃん、友永さんが言っていたけど、桐野大貴と楽しそうにショッピングモールで話していたんだろ?
本当はこんなこと言いたくないけど…。
夢子ちゃん。
これからは桐野大貴に近づかないで。
僕の傍にいて。
…夢子ちゃんを、守りたいんだ……」
ギュッと、大切なモノを抱えるような抱きしめ方。
私も無意識のうちに抱きしめ返していた。
「夢子ちゃん…」
「ありがとう、マドカ。
私…マドカの言う通りにするね」
「ありがとう夢子ちゃん。
…そうだ、メルアドと番号交換しよう?
何かあったら、すぐに連絡できるようにさ」
「うん」
私はスマホを取り出し、メアドと番号を交換した。
もう…忘れよう。
マドカだけを…好きになろう。
桐野くんのことは…
忘れよう……。