Dream
「そうなんだ…」
「しかも、マドカ、桐野くんに関して、危険人物だって」
「…俺が?」
「うん…。
桐野くんが、前に近くの川でおきた、男の子がおぼれた事件の、犯人だって。
警察に、補導されたって…」
「…」
「私それ聞いて、桐野くんのこと、怖いって思っちゃったの。
でも…マドカの方が怖い…」
「…」
「桐野くん…っきゃ!」
いつの間にか私は抱きしめられていた。
桐野くんの抱きしめ方は、凄く優しい。
安心する…。
「ユメ…」
「桐野くん…嘘…だよね?
桐野くんがそんなこと、するはずないよね…?」
「…」
「桐野くん…?」
「…」
「何か言ってよ…」
「…」
「桐野くんっ…?」
桐野くんは、何も言わない。
肯定も、否定もしない。
…抱きしめられているから、表情もわからない。