Dream
10~人間不信になった時~
☆大貴side☆
人生、何があるかわからない。
俺はとある事情から学校へは通わず、午前中を家で過ごし、午後を土木沢高校図書室で過ごすことがお決まりだった。
誰もいない、静かな場所。
俺はそこで、もう一生叶うことはない夢を、追い続けていた。
静かにいつも通りに本を読んでいると。
…どこからか溜息が聞こえた。
溜息の主は、この間土木沢高校に転入してきたという、柏木夢子と名乗る、俺と同い年の女だった。
“夢子”という、なんとも良い名前を持ちながら、彼女は決して笑わない。
…笑わしてやろうと思った。
だから俺はショッピングモールへ連れだした。
家と学校を往復する毎日。
つまらなくて、退屈だった。
でも親しい友人なんてモノは存在しないから、遊ぶ奴もいない。
…ユメは、俺の初めてと言って良いほどの友達だったんだ。
「大貴、あんた最近明るくなったわね」
いつも通り学校へ行く間際、母さんに言われた。
「そう?
まぁ最近、友達出来たからね」
「友達?
珍しいわね、あんたに友達が出来るなんて」
「うん。
俺も珍しいって思っている」