Dream
舞耶ちゃんたちは授業があるから、俺は1人で寝不足で倒れたユメを抱き上げ、保健室へと連れて行った。
保健室の先生とは、まあまあ親しい。
一時期は保健室登校もしていたし。
「お久しぶりで~す」
「あらヒロくん。
久しぶり、元気だった?」
「ええ。
ところで先生、ベッド空いてます?」
「空いているわよ。
…あらその子は?」
「2年生の柏木夢子ちゃんです。
寝不足で倒れたみたいで、運んだんです」
「ヒロくんが?
珍しいわね、土木沢の生徒と関わるなんて。
…彼女なのかしら?」
「まぁ…友達ではありますけどね、彼女ではないです」
ユメに告白されたけど、な…。
俺はその思いに答えられねぇけど。
よく聞く。
犯罪者の子どもは、犯罪者の子どもというレッテルをずっと貼らなくてはならないって。
子どもがなるんだ。
犯罪者の彼女は、絶対犯罪者の彼女という皮を被っていかなくてはならない。
そんな辛い思い…ユメにさせるわけにはいかないから。
ユメには友達を沢山作ってもらい、藤崎マドカではない優しい彼氏を持って、幸せに生きてほしいから。
俺と一緒にいるべきじゃないから。
…笑顔になれよ、ユメ。
“トモダチ”の、俺からの頼みだ。