ツンデレな君

ーーーーーーーーーーーーーーーーー 10月25日
私はその日急いでいた。

ママと待ち合わせをしていて、
帰ることで必死だった。


急いで学校から帰る途中、
教室に忘れ物をしてしまい戻ることにした。

階段を全速力で駆け上がる私。

すると、一人の男の子が階段でうずくまっていた。

「え…ちょっと、大丈夫ですか!?」

この階段は同い年しか使わないから
きっと同じ学年の子だ。

声をかけると男の子はすくっと立ち上がり
「大丈夫です…。」

そう言ったきり、フラフラと下に降りていってしまったのだ。


顔はよく見えなかったけど、多分隣のクラスの子かな…。


ホントに最初はこの程度でその後も
普通に生活していた。
ある日、体調が悪くて保健室に行った時。

奥のベッドが良かったのに空いてなくて、
奥から二番目になった。

隣に人が居るのはあまり好きじゃなかった。


それでも、隣の人が誰だか、どんな人か気になったのだ。

カーテンを開けると…

あの時の男の子だった。

おでこに冷えピタが貼ってあって
クスッと笑ってしまった。

「何だよ…。」

あ、起こしてしまった。

「ごめんなさい!」

閉めたはずのカーテンは閉めきれていなくて、少し彼の顔が見える。

あの時はなんも思っていなかったのに、今は何か特別な感覚でいた。



そのまま私は眠てしまっていた。
気づくと隣の彼はもう居なくて、
少しだけ寂しい気持ちもあった。


その日はずっと彼のことが頭から離れなくて、
色々な子に彼のことを聞いてみたけど
、どのクラスかも、何部かも分からないためほぼ無意味だった。

すると一人の友達からメールで写真が送られて来て、『この中にいる?』
そう言われた。

それはクラスでの体育祭の時のものだった。

一人一人見ていく…っと、
「あ!いた!!」

嬉しさのあまり声に出てしまう程だった。

『柿橋知也』

それが彼の名前らしい。


翌日、さっそく送ってくれた友達のところへ行った。

彼と同じクラスだったのだ。

「ねぇ、何で柿橋のこと聞いてきたの?」

「え、ちょっと気になったの」

「ふーん。好きなの?」

「え!?違うし、ただ気になっただけだから!」

友達には物凄く疑われたが、
自分でもよくわからなかったのは事実である。

好きか、と聞かれたらよくわからない。
ここで好きだと思ってもはっきりしない自分に嫌気が差す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー
柿橋知也

その言葉が頭の中でずっとループしていた。

彼はA組のサッカー部で、彼女は居ないそうだ。

こんなこと知ってどうしようというのか、そんなの自分にも分からなかった。

ただただ、彼のことが知りたくて。

お話とかもしてみたくて、でも何も出来ないまま高校一年生が終わってしまったのだ。





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