ツンデレな君
試合
その日の夜、ひたすらに考えた。
もし、彼が試合で勝ったら告白をしようか。
そんなことしたら、嫌われてしまうかもしれない。
それでも誰かに取られてしまう前に
思いを伝えてしまえば、後悔しないだろう。
告白なんて実際初めてだ。
でも、自分の好きな人を前に、好きな洋服で、好きな髪型で想いを伝えられれば幸せではなかろうか。
そう思ったら強くなれた。
「今日は西野カナ聴いて寝よーっと」
彼にとっても明日は勝負だが
私にとっても大勝負なのだ。
そして迎えた当日。
試合は十時からなのに只今の時刻、
AM5:00
友達との待ち合わせは九時だから、
まだまだ時間はあった。
ゆっくりお風呂に入って、髪の毛を巻いて、軽くメイクもして、いつもより少しだけ強めの香水をした。
AM8:00
少し早いが家を出た。
勝って欲しいけど、勝って欲しくない。
複雑な気持ち。
ゆらゆらと電車に揺られて友達との待ち合せ場所に着いた。
早めに着いてしまったが、20分後くらいに友達も来た。
「何かドキドキするね〜」
「私達出ないけどね」
会場に行くとサッカー部のお母さん達であろう方々と顔馴染みの生徒達がいた。
この中にも彼を好きな子はいるのかもしれない。
どんな事があろうと、昨日決めたことは実行しなくてはならない。
フィールドは割と広く反対側に相手チームがいるのが分かった。
と、いうことは、私達の席の真下に我が校のサッカー部がいるはずだ。
何人かの生徒が 頑張れよ〜 と 声をかけていた。
私と友達も見に行ってみると、少し緊張している面持ちだった。
彼は手前の方で誰かを探してる様子だった。
もしかして、彼女とか…?
変なことを考えるのはやめておこう。
試合が始まった。
前半が終わろうとした時だった。
友達が私に言った。
「あのさ、私も柿橋のこと好きなんだよね」
え…?
周りの音が聞こえなかった。
全てのものがスローモーションに見える、そんな感じだった。
「どうして早く言ってくれなかったの?」
「言う必要ある?」
そう言われると答えられなかった。
確かにとても仲がいい訳ではなかったし、普段も毎日一緒にいることも少なかった。
「今日試合が終わったら告白しに行くの」
そんな…。
「もし、それで私が柿橋と付き合っても恨まないでね?」
私は昨日から決めていた。
試合で勝ったら告白しよう。
でも、もし負けたら、
彼女に取られてしまうかもしれない。
こんな近くにライバルが居たとは、
思いもしていなかった。
だから、私は作戦変更したのだ。
勝っても負けても彼に想いを伝えようと。
「待って、私も告白する」
友達はびっくりしていた。
私は普段大人しいし積極的ではない。
しかし、こればかりは譲れないものがあった。
そして、試合は2ー0で負けてしまった。
彼が悔しい思いをしている中
告白なんてしていいものなのか。
悩んでいた。
ましてや、もし彼が友達を選んだら
一人でトボトボと帰ってこなくてはならない。
明日からの学校生活はどうするのか。
最初はそんなことが頭をループしていたが、今更どうでも良い。
潔く負けは認める主義だからだ。
―――――――――――――――――
応援していた生徒たちも皆、外に出て駐車場で待っていた。
『お疲れ様〜』
続々と部員達が帰ってくる中、彼の姿は無かった。
友達も少し焦った顔でキョロキョロしていた。
寒さもあってか、お腹が痛くなった私はトイレに行く事にした。
逃げたわけではない。
しかし、お腹の痛みには勝てなかった。
トイレから出てくると丁度、
探していた彼に会ったのだ。
「お前何してんの?」
「あ!お疲れ様です」
ここは駐車場の裏ということもあり、
人も少なかった。
「負けちゃったよ」
「知ってるよ…」
本人が一番悔しい筈なのに、何故か
ここで涙が溢れた。
「何でお前が泣いてんだよ」
そう言うと彼は優しく抱き寄せてくれた。
「俺、試合に勝ったらお前に言いたいことがあった。だから、昨日待ってて欲しいって言ったんだ」
すっかり忘れていた。
告白する事で頭がいっぱいで。
なんて最低な奴なんだろうと自分に嫌気が差した。
「ごめんなさい、知也君のこと見てたのに頭で色々考えてて…」
「色々って?」
言葉が詰まってしまった。
それでも、決めた事だったから、
前を向いた。
「知也くんが勝ったら告白しようと思ってたの。でも、友達も知也くんが好きだって知って、とにかく試合の後に想いを伝えようって…」
そこまで言うと、
「待って、その後は俺に言わせて?」
「俺も試合で勝ったらお前に言おうと思ってたんだ、好きだって」
真っ直ぐに見つめる彼は私の目線を逃さない。
「初めて会ったときからずっと探してて、やっと会えたと思ったら目も合わせてくれなくて。嫌われてるんだなって思ってたんだ。」
もし、彼が試合で勝ったら告白をしようか。
そんなことしたら、嫌われてしまうかもしれない。
それでも誰かに取られてしまう前に
思いを伝えてしまえば、後悔しないだろう。
告白なんて実際初めてだ。
でも、自分の好きな人を前に、好きな洋服で、好きな髪型で想いを伝えられれば幸せではなかろうか。
そう思ったら強くなれた。
「今日は西野カナ聴いて寝よーっと」
彼にとっても明日は勝負だが
私にとっても大勝負なのだ。
そして迎えた当日。
試合は十時からなのに只今の時刻、
AM5:00
友達との待ち合わせは九時だから、
まだまだ時間はあった。
ゆっくりお風呂に入って、髪の毛を巻いて、軽くメイクもして、いつもより少しだけ強めの香水をした。
AM8:00
少し早いが家を出た。
勝って欲しいけど、勝って欲しくない。
複雑な気持ち。
ゆらゆらと電車に揺られて友達との待ち合せ場所に着いた。
早めに着いてしまったが、20分後くらいに友達も来た。
「何かドキドキするね〜」
「私達出ないけどね」
会場に行くとサッカー部のお母さん達であろう方々と顔馴染みの生徒達がいた。
この中にも彼を好きな子はいるのかもしれない。
どんな事があろうと、昨日決めたことは実行しなくてはならない。
フィールドは割と広く反対側に相手チームがいるのが分かった。
と、いうことは、私達の席の真下に我が校のサッカー部がいるはずだ。
何人かの生徒が 頑張れよ〜 と 声をかけていた。
私と友達も見に行ってみると、少し緊張している面持ちだった。
彼は手前の方で誰かを探してる様子だった。
もしかして、彼女とか…?
変なことを考えるのはやめておこう。
試合が始まった。
前半が終わろうとした時だった。
友達が私に言った。
「あのさ、私も柿橋のこと好きなんだよね」
え…?
周りの音が聞こえなかった。
全てのものがスローモーションに見える、そんな感じだった。
「どうして早く言ってくれなかったの?」
「言う必要ある?」
そう言われると答えられなかった。
確かにとても仲がいい訳ではなかったし、普段も毎日一緒にいることも少なかった。
「今日試合が終わったら告白しに行くの」
そんな…。
「もし、それで私が柿橋と付き合っても恨まないでね?」
私は昨日から決めていた。
試合で勝ったら告白しよう。
でも、もし負けたら、
彼女に取られてしまうかもしれない。
こんな近くにライバルが居たとは、
思いもしていなかった。
だから、私は作戦変更したのだ。
勝っても負けても彼に想いを伝えようと。
「待って、私も告白する」
友達はびっくりしていた。
私は普段大人しいし積極的ではない。
しかし、こればかりは譲れないものがあった。
そして、試合は2ー0で負けてしまった。
彼が悔しい思いをしている中
告白なんてしていいものなのか。
悩んでいた。
ましてや、もし彼が友達を選んだら
一人でトボトボと帰ってこなくてはならない。
明日からの学校生活はどうするのか。
最初はそんなことが頭をループしていたが、今更どうでも良い。
潔く負けは認める主義だからだ。
―――――――――――――――――
応援していた生徒たちも皆、外に出て駐車場で待っていた。
『お疲れ様〜』
続々と部員達が帰ってくる中、彼の姿は無かった。
友達も少し焦った顔でキョロキョロしていた。
寒さもあってか、お腹が痛くなった私はトイレに行く事にした。
逃げたわけではない。
しかし、お腹の痛みには勝てなかった。
トイレから出てくると丁度、
探していた彼に会ったのだ。
「お前何してんの?」
「あ!お疲れ様です」
ここは駐車場の裏ということもあり、
人も少なかった。
「負けちゃったよ」
「知ってるよ…」
本人が一番悔しい筈なのに、何故か
ここで涙が溢れた。
「何でお前が泣いてんだよ」
そう言うと彼は優しく抱き寄せてくれた。
「俺、試合に勝ったらお前に言いたいことがあった。だから、昨日待ってて欲しいって言ったんだ」
すっかり忘れていた。
告白する事で頭がいっぱいで。
なんて最低な奴なんだろうと自分に嫌気が差した。
「ごめんなさい、知也君のこと見てたのに頭で色々考えてて…」
「色々って?」
言葉が詰まってしまった。
それでも、決めた事だったから、
前を向いた。
「知也くんが勝ったら告白しようと思ってたの。でも、友達も知也くんが好きだって知って、とにかく試合の後に想いを伝えようって…」
そこまで言うと、
「待って、その後は俺に言わせて?」
「俺も試合で勝ったらお前に言おうと思ってたんだ、好きだって」
真っ直ぐに見つめる彼は私の目線を逃さない。
「初めて会ったときからずっと探してて、やっと会えたと思ったら目も合わせてくれなくて。嫌われてるんだなって思ってたんだ。」