偽恋♥とらいあんぐる。〜義理チョコの答え〜
同じ名字。『…天宮晴樹?』文字は丸くて可愛らしい。
『おう、宜しくな。』と言って歯を見せて笑った瞬間、心を奪われた。
『う、うん///』はにかみながらもなんとか平常心を保ち、頷く。
『お前の名前は?』気取った風にペンをクルクルと回しながら聞いてきた。
『あー、その前にペン…貸してくれる?』そう言いながらそっと両手を広げる。
君と同じ名字を口にするのがなんとなく照れ臭かったから。
『ん。』「書くなら漢字にしろよ」と、付け足してあたしの手のひらにペンを添える。
指先が触れただけなのに心臓が高鳴ってた。
君の視線を感じながら、膝の上に紙をのせて、慎重に名前を書き出す。あくまで見栄え重視だ。
『あまみやちよこ?』少年は目を見開きながら聞き返す。
『そうだよ。』大きく見開かれた瞳、吸い込まれてしまいそう。
視線がばっちり合ったから、思わず視線を逸らしてしまう。
『すげぇ〜名字一緒じゃねーか!』
『うん、漢字違うけど。』ノリツッコミなんて入れてしまった。
『そっか(笑)』くしゃっと笑った君を見て、可笑しくなってあたしも笑う。
『まだここにいるか…泣いてた理由も気になるし。』さりげなく、独り言の様にポツリと呟いた。
何気ないその一言に嬉しくなる。
一先ず二人はコンクリートの段差に座り込むと眩しい夕焼け空が二人を照らし出した。
校舎裏には、まだあどけない二つの影がキラキラと写る。
不思議…..見慣れた景色がいつもよりロマンチックに思えた。