妄想(笑) 恋歌物語 ~万葉集編~
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「さて、こんなもんか?」
「はい、たぶんこれで全部です。」
俺は重たい紙がたくさん入った方の風呂敷を持った。
「重たいですよ!?私の物だし、自分で持ちます!」
やれやれ、この姫さんは何を言うか。
「重たい物を持つのは男の仕事。
それに足、まだ痛いんだろ。ほら、あいてる方の手をかすから。」
そう言って手を差し出す。
もう、手をつなぐのには慣れたのか、
さほど戸惑う様子もなく、素直に手を重ねる。
俺達は端からみたら、恋仲にしか見えないんだろう。