妄想(笑) 恋歌物語 ~万葉集編~


* * * * * * * *




「さて、こんなもんか?」


「はい、たぶんこれで全部です。」


俺は重たい紙がたくさん入った方の風呂敷を持った。


「重たいですよ!?私の物だし、自分で持ちます!」



やれやれ、この姫さんは何を言うか。



「重たい物を持つのは男の仕事。

それに足、まだ痛いんだろ。ほら、あいてる方の手をかすから。」



そう言って手を差し出す。



もう、手をつなぐのには慣れたのか、

さほど戸惑う様子もなく、素直に手を重ねる。



俺達は端からみたら、恋仲にしか見えないんだろう。








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