妄想(笑) 恋歌物語 ~万葉集編~
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二刻程前に遡る。
「お願い!一度でいいの!」
「駄目です。何度もおっしゃっているでしょう。いい加減諦めて下さいまし、姫様。」
私の家は裕福だった。
私は産まれた時から周りにとても大切にされてきた。
それは、ものすごく有難い事だし感謝もしてる。
...でもね、過保護なのよ!
過保護すぎるのよ!!
そう、私は生まれてから数える程しか家の外に出たことがない。
いや、出たとも言い難い。
なんせ、籠に入れられて御簾越しでしか風景を見られなかったのだ。
外の世界に憧れるのは当然だ。