妄想(笑) 恋歌物語 ~万葉集編~
諭されて、諦めきれるようなら始めから頼んだりしない。
よし、決めた。
脱走しよう←
なんて安易な考えが女房にもすぐばれてしまったのか、ダメですからね、と言われた。
ちぇ、
近くに転がってい小石を蹴り飛ばして、屋敷に上がった。
父上の部屋に行くと、父上が何やら探し物をしている。
「父上なにかお探しですか?」
「ああ、先程筆を書き潰してしまってな。代えがないものかと。」
「なら、私が女房から貰ってきます。」
「ああ、頼む。あと紙も頼めるか?」
「もちろん」
そのあと、先程の女房に訊ねても筆と紙の余りはないようなので、父上がその女房に買い物に行くように私に金を渡して言伝てしたのだ。
これはチャンスだ!
そう思って、女房に渡すはずだったお金を持って、私が買い物に出たのだ。