妄想(笑) 恋歌物語 ～万葉集編～

.....ふっふっふ。


今日はなんたって、あの海石榴市（つばいち）に来てるんだからな！


解らない奴もいるだろうから、説明してやろう。

海石榴市とは、奈良にある大きな市場だ。
まあ、奈良にある渋谷や新宿だと思ってくれ。


多くの店が並ぶ市場だから、
老若男女や身分を問わず、多くの人が訪れる。


俺のような若い男にとっては、絶好のナンパ所だ。

いやいや、
俺はナンパ目的で来たわけじゃないから。

ちゃんと仕事の用事があったからだ。




本当に....いや、本当に！
ナンパはついでの目的だったから！



俺は自分の事をそこそこ良い物件だと思っている。

下級ではあるが貴族だし、顔も悪くない。
勉学についても何度も誉められた。


こんな俺が声をかければ、女はすぐ
「メロきゅんっ♥」ってなるに違いない！


そんな事を考えていると、やたら通行人が俺の方を見ていることに気が付いた。


ふふっ。きっと俺のカッコよさは人びとが二度見する位なんだろう！


（いやいや、考えてることが口から駄々漏れで大きすぎる独り言に周りの人が引いてるんですよ（笑）。by 作者）