禁じられた放課後
「おまえら何やってんだっ!」
展望台に到着した山根と早川の前に、三人の少年と涼香の姿が映る。
「早瀬!」
山根はその場に駆け寄り、まず涼香の上にいた少年をはじき飛ばした。
そして早川が他の二人を捕まえようと声を荒げながら組み合う。
涼香はただ、擦りむけた肩を抱えながら泣くばかりだった。
「こ…のやろうっ、ふざけんじゃねーぞ!」
山根が一人を殴ると、その後ろにいた少年がナイフを向けて来た。
それを早川が背中から押さえ付ける。
「うあっ!」
「早川先生!」
早川が腕を切られた。
山根はナイフを持った少年の腕を蹴りあげ、そのナイフは遠く飛ばされる。
その拍子に再び早川は少年を押さえ、血を流した腕で彼らの手を後ろから吊るし上げたのだった。
「子供がこんなの持ってちゃ危ないでしょ」
「いててっ、やめろって!オレら頼まれただけじゃん」
「はぁ?」
山根もまた一人を抱え、その言葉に首をかしげた。
しかし次の瞬間……
「早川先生、危ない!!」
早川の前に身を乗り出した山根。
暗闇に光るナイフは、まだその危険な艶を残していた。
「さ…やの…せんせ……」
崩れゆく山根。
ナイフを手に立ち尽くす鞘野。
早川は顔を硬直させて、血で手を染めるその鞘野を見つめていた。
「よ、陽子……」
「い…いやっ……先生っ、山根先生ーっ」
その涼香の声を直哉が間近で聞いた頃には、すでに山根の背中は赤く染められ、夜空では流星群がその日一番の輝きを見せていた。