禁じられた放課後
二人の世界で
非常階段を示すグリーンの光が、廊下のつきあたりを微かに照らしていた。
ビニールの長椅子に座り、直哉と涼香は言葉もないまま宙を見据える。
「あ、校長先生が到着したみたいなので、私玄関まで迎えに行って来ます」
浦辺はエレベーターに乗り、一階へと下りて行った。
繁華街からそう遠くない大学病院。
美咲と鞘野、そして少年たちが、駆け付けた警察と共に去った後、直哉と涼香は山根の運ばれたこの病院にやって来ていた。
早川は、警察の方に同行している。
涼香の肩にかかるタオルケットは、未だ震えていた。
直哉はそれに気づきながらも、何もできずにただうなだれるように下を見続けていた。
涼香に声をかけようにも、まだ自分の中も整理をつけることができていなかったのだ。
山根が意識を失っている。
美咲が警察に連行されている。
そして、涼香までもがこんな状態に……。
何もかもが自分の行動が原因で起こった。
そう考えると、どうしようもなく胸が締め付けられた。
「先生……」
涼香は、自分よりも直哉の方が不安を背負っているのではないかと感じていた。
涼香もまた、自分の責任ですべてが起こったと考えていたのだ。