禁じられた放課後
涼香の頭に優しく手を置くと、直哉はそのまま立ち上がった。
こんな時でも、柔らかくて響くような直哉の声。
それが、悲しいくらいに辛い言葉に聞こえた。
「先生、私は本気だよ。先生と一緒なら平気だって」
「だから冗談だって!」
直哉の背に触れようとした涼香の指先が、とっさに胸元へ引き戻される。
初めて聞いた直哉の強い口調に、再び舞い戻って来たのは震えなのか、騒ぐ鼓動なのか。
直哉は、ゆっくりと涼香を見つめた。
「そんなこと……させられるわけないだろ?」
どうせなら、優しくなんて笑ってくれない方が良かった。
直哉の表情は、そのどれもが涼香の気持ちを引き寄せる。
こんな時にまで、溢れる感情が止められない。
涼香は、直哉の体を両腕で包むと、何も言わずに体を寄せた。
ただ、直哉を守りたいと感じていたのだ。