禁じられた放課後
「おう、早瀬。終わったのか」
山根が声をかけると、もう一人は答えた。
「はい、全て運び終わったので私は帰ります」
「ありがとう、助かったよ。気をつけて帰れよ」
その声を聞いた直哉が慌てて廊下に出ると、そこにはあの女子高生の姿があった。
ほんの3メートルほどを小走りしただけで動悸がおさまらない。
そう、走ったせいでこんなに鼓動が激しいんだと、直哉は自分に言い聞かせた。
ゆっくりと、視線が重なっていく。
「あー、先輩……じゃなくて吉原先生。オレのクラスの室長、早瀬涼香です。大人しいけどしっかりした子なんですよ」
直哉はただ無言で立っていた。
涼香は微笑んで頭を下げる。
「じゃあオレ倉庫行くから。早瀬、ホントありがとな」