禁じられた放課後
「正直、オレもどうやってこの気持ちを抑えればいいのか分かりません。吉原先生を殴れば落ちつくのかと言えば、そういうわけでもなさそうです。
ただ……オレはどんな生徒にも笑って卒業してもらいたいと思っています。それまでにどんな出来事があったとしても、振り返れば思い出として目を閉じれるような。残念ながらオレはその瞬間に立ち会えることはなさそうですけど、せめてその境遇を納得させてやれたならと」
そう言いながら引き出しを開けた山根は、直哉にクラス名簿を差し出した。
「教師としての吉原先生を見せてやってください。それで早瀬が自分の立場を理解してくれるかはわかりませんけど、今後の吉原先生の態度次第でなんとか……」
直哉は首を横に振りながら山根の手を下に伏せた。
そしてそんな直哉の表情に、山根はため息をつく。
「もう、そんな程度の想いじゃないってことですか。このまま教師と生徒という立場を無視して」
「山根、僕は明日アメリカに経つよ」
「はっ?……明日って、痛っ」
思わず前に出そうになった体に痛みが走る。
直哉は静かに山根の肩を押さえ、そのままベッドへと横にならせた。
「僕がこんなことを言える立場じゃないのは分かってる。でも山根は早く体を直して学校に戻るんだ。自分の生徒の卒業くらいちゃんと自分で見送れ」
「ちょっ……、偉そうなこと言って逃げようってんですか」
「そうじゃない」
直哉はもう一度深く座り直すと、山根をまっすぐに見据えて話をした。