禁じられた放課後


『直哉、元気だった?きっとそうよね、自分の夢が叶う場所にいるんだもの。でもね、私も意外と元気なのよ。驚くでしょ?あの場所からも筒井先生が用意してくれた良い弁護士さんのおかげで早く出られてね、今は毎日留学への勉強を続けてるの。

本当に筒井先生はいろいろ気遣ってくださって。私のためにまたいろいろと動いてくれてるわ。嫌味じゃないけど、あなたよりも私のことを考えてくれてるかもしれないわね。

ねぇ、直哉。私は今、あなたの中に存在してるかしら。ううん、別に離婚を取り消そうとかそういうことじゃないから心配しないで。私の中にはね、今も直哉が大きく存在してるの。
愛情だとかそういうことじゃなくて、お礼が言いたいのよ。こうして私が前に進めるきっかけをくれたこと。直哉がそうやって夢を追ってくれたから、私もまた先を見ることができる勇気をもらえた。直哉は私にとって目標になる存在。とても隣になんて並べないから、ずっと前を歩いてくれていればそれで良いわ。

それでね、実はこの手紙を直哉が読む頃には私も海外へ向かってると思うのよ。筒井先生がカナダの学校を紹介してくれて、研修補佐として使ってもらえるみたい。なんだかあなたと離れたことで、私の夢も近づいたみたいよね。本当に不思議。こんなことも、運命だったのかしらね』




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