禁じられた放課後
「おーい、流星群の時間までまだ結構あるから、夕飯でも食べに連れて行ってやる」
「えーっ、どうしちゃったの山根先生!」
「いいからさっさと来い!」
「じゃあ吉原先生もくるんでしょ」
瑠未が直哉を振り返ると、他の生徒も動きを止めてその返事を待った。
後ろの方で山根が微笑み、その間を懐かしい風が通り抜けて行く。
「……僕はいいよ。まだ会っておきたい人がいるから」
直哉は自分の言葉に胸を高鳴らせた。
こんなこと、言える自分じゃなかった。
「さ、そういうことだから行くぞ。吉原先生、しばらくの間ここの管理よろしくお願いしますね」
直哉と山根が手を上げて合図を送り合う。
こんなに素直に感情を出してもいいのだろうか。
直哉はどんどん大きくなる耳の奥の鼓動を、夜の空気で抑えようと天を仰いだ。
そして山根も、自分のことのようにどこか胸が暖かくなるようなその感覚を、楽しみながらこの夜に浸るのだった。