禁じられた放課後
星が夜空を賑やかに飾りはじめた頃、グラウンドの向こうからは戻ってくる山根や瑠未の声が聞こえてきた。
気を使ってくれたのか思わぬ時間を喰ったのかはわからないが、予定よりはずいぶん遅い。
「ほら、もう流れてるじゃないですか!」
「まだ始まったばかりだから大丈夫だって」
そんな会話に直哉と涼香が微笑み合う。
そして涼香は、少しその視線を下げて直哉に再び近付いた。
小さな声が、直哉の胸に染み込んで行く。
「先生、私もたくさんの子供たちに星の話を聞かせてあげられるようになりたくて、保育士の勉強をしながら天文学の大学の先生のところに通ってるんです。
本当は先生の近くで、その夢が叶えられたらって思って……だから、来年無事資格を取って卒業したら……先生に会いに行ってもいいですか」
両手を握り合わせて返事を待つ。
直哉はその手を自分の方に引き寄せると、涼香のうつむいた視線に合わせて腰を屈めた。
ゆっくりと顔を上げれば、直哉が首を横に振りながら自分を見つめている。
「僕が迎えにくる」
流星群が、空を一気に染めた。