禁じられた放課後
想いの行き場
「たしか吉原先生は昨年結婚されたばかりだと聞いてるんですけどぉ」
薄ら明かりも落ちる頃、四方筒抜けの飾り気もない居酒屋で、若い教師達が緊張の糸を解しながら宴会を始めていた。
八人ほどが肩をすり寄せ合いながら座敷きに座る。
うわさ話が大好きで年齢も若く、生徒達との距離も近い存在である科学教師の浦辺は、興味のターゲットをさっそく直哉にロックしたようだった。
「浦辺先生、何を探ろうとしてるんですか。赴任早々プライベートに入り込まれては吉原先生もやりにくいでしょう」
冷静沈着がモットーの数学教師である早川。
クールな装いで女子生徒からも人気はあるが、少し堅苦しい性格が他教師からは懸念される要素になっている。
「いえ、僕なら構いませんよ。話を振っていただけると僕も打ち解けやすくて助かりますから」
直哉は半分遠慮した表情を見せながらも、この教師達との付き合いがなんとなく面倒なようにも感じていた。
直哉以外は全て独身者。
年配の教師達もこの雰囲気に気を使ってか今日の参加を断っている。