禁じられた放課後
「先生、好きになってもいい?」
あの夕暮れ時の言葉に、直哉は揺れて、涼香は震えた。
先の見えている恋。
一緒になれるはずなどないと分かりながらも、二人の時間は互いの存在を大きくしていく。
直哉は涼香の想いを否定しなかった。
「何もいらないから。ただ、好きでいさせて欲しいの」
白い制服の肩に触れることさえできずに、直哉は自分の膝の間で力も出ない両手を握り合わせた。
正面から受け入れることはもちろん、自分の想いなど伝えることはできない。
それでも自分に正直になれば、涼香との時間を失くしたくはない想いが心のどこかにあったのだ。
「構わないよ」
精一杯の言葉だった。