禁じられた放課後
濃いグレーの手提げカバンから薄い雑誌を取り出す。
涼香は付箋の貼られたページを開いて直哉の前に差し出した。
向側から覗き込めば、下を向く直哉の表情が近く切なく胸を焦がす。
メガネの奥にある真直ぐな視線。
口元から小さく聞こえるスムーズな英語。
風に掻き上げられる前髪も、そのどれもが涼香の全てを引き寄せた。
日を追うごとに……、いや、一秒ごとに惹かれていく。
「これは、あまり聞いたことのない星の話だけど。双子座の恋物語なんて聞いたことないな」
一通り読み終えた直哉が顔を上げた。
突然近くで重なった視線に戸惑う涼香。
その仕草で思わず直哉まで動揺する。
「あ、あの、これは一般読者が物語を作るコーナーで……」
「ええっ!あぁ、そうなのか。どおりで知らないはずだよ。でもよくできてるなぁ」