禁じられた放課後


自分の冷静さを装うために、直哉はページをあちこち移動させた。

目の前では涼香がまだ顔を赤らめている。

そんな涼香に何かしてやりたくなるのは、ただの教師としての想いではないことくらいもう確かだ。



床でパタパタと擦足音をたてる涼香を、直哉は静かに眺め雑誌を閉じた。



「早瀬……キミは何座だ?」



えっ、と不思議そうに涼香が直哉を見上げる。



「水瓶座です」


「そっか」



直哉はフッと優しく笑った。
そしてしばらく目を閉じる。

教室内の音は、風と時計と二人の鼓動だけ。

虚ろに見つめる涼香の前で、直哉はゆっくりと口を開いた。




< 31 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop