禁じられた放課後
自分の冷静さを装うために、直哉はページをあちこち移動させた。
目の前では涼香がまだ顔を赤らめている。
そんな涼香に何かしてやりたくなるのは、ただの教師としての想いではないことくらいもう確かだ。
床でパタパタと擦足音をたてる涼香を、直哉は静かに眺め雑誌を閉じた。
「早瀬……キミは何座だ?」
えっ、と不思議そうに涼香が直哉を見上げる。
「水瓶座です」
「そっか」
直哉はフッと優しく笑った。
そしてしばらく目を閉じる。
教室内の音は、風と時計と二人の鼓動だけ。
虚ろに見つめる涼香の前で、直哉はゆっくりと口を開いた。