禁じられた放課後
「ふん。もう少し気を引き締めた方がいいと思いますよ。ここにいたら、誘惑なんて珍しいことでもないんだ」
勝ち誇るように早川は直哉を見下げた。
夕陽が、もう顔の半分まで影を落としている。
「ご忠告ありがとうございます。でも、僕にはそんなこと関係ありませんから」
スッと背筋を正して迷いなく答える直哉の姿が、また涼香には胸を締め付ける存在として見えてしまう。
自信に満ちた表情で早川を見上げるその様子は、多分美咲をも今さらながらに夢中にさせてしまうものなのだろう。
「自分は誘惑なんかに揺れない、そういうことですか」
早川の言葉に直哉は涼香へ視線を向ける。
声を出すだけでなく、息をすることすら忘れてしまったような様子。
直哉は涼香を気づかった。
このままでは聞かせたくないことだって話しかねない。