禁じられた放課後
手をあげて去って行く後ろ姿にタバコの煙を吹き掛ける。
直哉は天を仰いだ。
涼香の求めていたものが、決して英会話の学習などでは無いことくらい分かっている。
自分だってその時間を失いたくは無かった。
でも、多分今はこうしておく方がいいのだろう。
もめ事を引き起こされれば、それこそ二度と二人の時間は作れない。
大人になり切ろうとする直哉の気持ちは、空回りすることを恐れていた。
涼香が傷つくことを避けたくて、自分の想いの整理さえできていない。
伝えなければ伝わらないこと。
そんなことにも気付かずに、どこかで涼香の理解を求めていた。
窓辺の手摺にもたれ掛かり空を見る。
一番星が、とても眩しかった。