禁じられた放課後
出窓に手を掛けながら、月に照らされたその顔を見て涼香は思わずその身体を後ろにずらしていく。
緩む口元は近く見た覚えがあった。
「早川先生……」
「星の観察、私が付き添うよ」
星が瞬き始めたその空の元、一台のタクシーが校門前に停車した。
静かな空気が流れを止める。
走り去るタクシーのエンジン音が聞こえなくなると、美咲はただ真直ぐに目の前の校舎を見上げ、その足を門の中へと進ませて行った。
一つの醜い神話が作られようとする夜、流星群は、自分達の役目を忘れそうになりながら地上を見下ろしていたかもしれない。
その輝く姿に、寂しい陰を落して。