禁じられた放課後
蛍光灯の光が弱々しい。
目障りなフラッシュを浴びせるように瞬く廊下の突き当たりで、直哉は鞘野に不信感を抱き始めていた。
一体どういうつもりで自分をここに連れて来たのか。
「確かにここで活動しているわけではありませんよ。でもほら見てください。ここからはその活動場所であるログハウスのデッキが見えます。わざわざあそこまで足を運ばなくても確認できるだろうと思ってここへお連れしたんですけど」
鞘野の指差す先の窓からは、話の通りログハウスのデッキの様子が確認できた。
その窓を開け直哉は目をこらして人陰を探る。
「確かに電気はついていないようですが、何か影が動いてるようにも……鞘野先生?」
まるで寄り掛かるように鞘野は自分の手を直哉の肩に添わせた。
直哉の背中に妙な緊張感が走る。
「吉原先生?先生は星を見る生徒たちの活動に何か関係してるんですか?顧問でもないはずですけど」
直哉は肩に少し力を入れ鞘野の手を外そうと軽く揺すった。
すると鞘野は突然直哉の腕を強く抱え込み、その横顔に赤い口紅を近付けたのだ。
そして息を吹き掛けるように囁く。
「言ったはずですよ、先生。生徒に手を出すよりも教師同士の方が問題にならなくて済むって」