禁じられた放課後
「何を言ってるんですか鞘野先生。僕は生徒に手を出すようなことはしていません」
はっきりそう言ってメガネの傾きを整えると、直哉はまた窓の外を高伸びに眺めた。
未だ腕に身を預ける鞘野の目には、階段先で険しい表情を浮かべながらたたずむ美咲の姿が映る。
鞘野は記憶を辿った。
前に直哉を家まで送った時に、振り返りタクシーのリアガラスから見た顔。
そしてすぐ、それが直哉の妻だと確信した。
「鞘野先生!やっぱり誰かいるみたいです。僕行ってきます」
「あ、吉原先生。あれはもしかして早川先生じゃないですか。もしも生徒が残っていたなら危ないかもしれませんっ」
慌てて引き止める鞘野に直哉は問いかけた。
「どういうことですか!」