禁じられた放課後
桜台高校前〜
車内アナウンスと共に生徒達が腰を上げて歩き始める。
その女子高生も直哉の前を通り過ぎて行こうとした。
春に似合う風の香り。
直哉の視線が髪を追う。
立ち止まった足元の白いソックス。
「先生、占いって信じる?」
振り返った表情の眩しさは朝の光のせいばかりじゃない。
「いや……信じてないよ」
そんなもの……。
この気持ちをどうすれば誰にも気付かれないまま消せるのだろう。
その女子高生との出会いに目を背けようとして、直哉は瞬間的にあの朝の番組での言葉を信じてしまいそうになった自分を偽った。
門の前に立ち尽くす直哉。
後ろからは舞い散る桜が、あおるようにその姿を追い越して行った。