禁じられた放課後
背中と肩と腕と、身体中の全てに直哉を感じる。
耳の近くで聞こえる呼吸も、シャツの隙間から流れ出る香りも、その全てが愛おしい。
涼香は両手を静かに上げ、その手をそっと直哉の背中に回した。
溶け込めるものなら、このまま直哉の中に消えてしまいたい。
力一杯にその細い腕で直哉の体を包んでも、その心をここに繋ぎ止めておくことはできないのだ。
「先生……好き」
「……うん」
「好きなんです」
「うん……」
何度繰り返しても同じ答えしか返ってこない。
それでも流星群が見守るこの夜空の下で、こうして直哉と一緒にいられるのはきっと願いが受け入れられたからに違いないと、素直にそう思いながら涼香は星に感謝するのだった。
そして直哉は、この瞬間に自分の想いを再び思い知らされることになっていた。
もう誤魔化せはしない。
自分は涼香との時間を、限りなく求めている。