禁じられた放課後
午後の授業もすべてを終えた放課後、再び陰口のように囁かれる様子が気になった涼香は、その視線が自分に集中されていることにも気がついた。
まっ先に頭に浮かぶのは直哉とのこと。
グラウンドでの出来事を誰かに見られたのだろうか。
それでもどこかで、そんな関係を誰かに知ってもらうことに小さな喜びを感じてしまう涼香だった。
複雑な感情。
秘密であるのに、誰かに知ってもらいたい思い。
しかし、近付いて来たクラスメイトが口にした言葉は、涼香が期待したそれとはまったく違うものだった。
「ねぇねぇ、早瀬さん。早川先生に襲われたって本当?」
ドクン……
涼香の全身を冷や汗とともに緊張が駆け抜けた。
カバンに入れようとしたペンケースが床に落ちる。
その音と同時に、今まで様子を伺うような態度でソワソワしていた生徒たちが一気に涼香の周りを囲んだのだ。
「何されたの?」
「やっぱり早川先生って前からそういう噂あったし」
「もしかして最後までやられちゃったとか」
「ちょっとはっきり聞き過ぎよ。早瀬さん、相談にのるから何でも私たちに話してね」
「早瀬さん、早瀬さん……」