禁じられた放課後
夏の夜の悪夢
「よく決心してくれたね。いや、当然のことか、あっはっは……」
校長室に響く笑い声は、直哉の決意の行く先を表していた。
この夏、直哉は海外へ発つ。
見失うわけにはいかなかった。
ずっと追いかけ続けてきた夢。
涼香とさえ出逢わなければ、何の問題もないことだった。
それが、気づけばこんなにも大きな決断になっている。
「吉原先生、もっと堂々としなさい。表情が硬くなってるぞ」
「いえ……、大丈夫です」
直哉は、完全に消し去ることなどできない揺れる想いを、自分の中に抑え込むことで精一杯になっていた。