先生の手が触れる時
「俺の絵をみて、泣いてくれて」
「……」
「…あのとき、絵を描いてて良かったって思った」
自分の気持ちを素直に話していく
「…自分の絵をみて、泣いてくれるやつなんて、そうそうこの世界探したっていない」
「…先生」
「そんな出会えるかも分かんない人に、出会えた。ほんとに嬉しかったんだ」
俺の白衣をぎゅっと遠野が握りしめる
「うん」
「だから、ありがとな」
そういって抱き締める腕に力を込める
「……さ、もう暗いから帰れ。気を付けろよ」
そういって遠野を離し、窓のカーテンを閉めに行く