先生の手が触れる時

「……その、生徒さん。なんで誰にも言えないのかしら」
「え?」
「……話を聞く限りだと雪夜くん以外にも言ってなさそうね」

奥さんは不思議な顔をする

「普通、何か隠していたとしても…誰かしらに相談するはずだわ」
「………絵理子…」
「あら、もう帰ってきたの?」

信は便所から戻ってきたらしく、絵理子さんを見て苦笑いする

「これは男同士の話なんだよ」
「ムキになってるだけの男にアドバイスなんてできるのかしら?」
「な!」
「女の子のことなら私に聞いた方が絶対良いわよ。女心の分からない信よりマシ」

その言葉になにも言えなくなる信
そんな二人を見て少し温かい気持ちになる
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