先生の手が触れる時
推測
雪夜が帰ってから絵理子と信は机をはさんで向かい合っていた
「あんな雪夜くん。初めて見たわ」
「だろ?俺も驚いた」
「あんな風に必死な顔をするのね。誰かを守りたいのに守れないもどかしさに苦しむのね」
絵理子は頬杖をつきながら
人間らしくなった雪夜を思い出す
「……その生徒さん。大丈夫かしら」
「どうだろうな。絵理子…どう思う?その子の傷について」
「…そうねぇ。暴力だけならいいんだけど」
意味深な言葉を紡ぐ絵理子を見る信。
「どういう意味だ?」
「先生、と考えるからいけないの。もしその子が雪夜くんのことを恋人として見ているのなら」
「?」