先生の手が触れる時
「…恋人に知られたくない親との秘密」
信は思わず動きを止める
「お、おい……待てよ。それはさすがに考えすぎだろ?」
「私もそう思ったから言わなかったのよ……でも、やっぱり変なのよ」
「変って何が?」
焦ったような顔の信を見て、絵理子は少し苦笑いする
「……恋人に弱音も吐けず、傷だって見られてるのに口を割らない」
「…それは」
「私が考えてること。まぁ、ただの推測にすぎないけど……」
そういって絵理子は信の顔を見る
「一番、最悪の事態を想定してだとしてね?」
「あぁ」
「親に、そういうことをされてる。それと暴力も振るわれてる。だから、暴力だけなら助けを求められるけど…そういうことをされてるから……恋人には言えない。人には言えない…嫌われたくないから」