先生の手が触れる時
「バカね。そんなことあったら言ってるわよ」
「……そ、そうか」
「…私の友達にいたのよ。一人だけ」
「…え?」
絵理子は少し寂しそうな顔をする
「苦しんでて、誰にも言えなかったって。恋人には怖くてずっと黙ってたみたい」
「…そう、だったのか」
「ええ。私に言ってくれたのも…私がしつこく聞いてたのよ。ほら、昔から勘は良かったから」
無理に笑ってる絵理子の手を握る信。
「そしたらある日、私の家に転がり込んできて全部話してくれた。それでしばらく家にいたの。結局、父親がそのあとすぐに亡くなって…その子、引っ越しちゃったけど」
「そうだったんだな…」
「少し、にてたの。その子の父親も娘に過剰に触れてたし…傷はいつも見えないとこだった。…そうでないことを…私は祈るだけよ本当に……」
震える絵理子のそばにいき抱き締める信
その胸に体重をかけながら絵理子は一粒涙を流した