先生の手が触れる時

「例えばね、この女の子。この絵だとただ上に手を伸ばして落ちていってるようにしか見えないだろう?」

私がうなずくと先生は首を横にふる

「でもね、この絵の彼女の手の先に例えば誰かの手がのびていたら?」
「え?」
「まるで、その手を掴むために腕をのばしているような絵になるだろう?この暗闇から、抜け出したい。そんな気持ちが伝わる絵になる」

暗闇から、抜け出したい…

その言葉が胸に突き刺さる

「だけど、その何を求めてるのかが思い浮かばないんだ」
「……何を、求めてるのか」

私がそう呟くと先生は棚から取り出した教材を私に渡す



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