先生の手が触れる時

その先生の手元を見ると彼女もまた絵の具を持っていた

その状況ですぐ手伝っているのだと分かるのに心に嫌な感情が渦巻くのがわかった

「……あ、美術室行こうとしたんですけど……今日は帰りますね」
「ならちょうど良いです。田宮先生、後は遠野に手伝ってもらいます、ありがとうございました」
「そう?」

頼んで良いかしら、と言いたげな顔で首をかしげる田宮先生。

その行動が何だか大人で、私はとても子供に思えて余計悲しくなった

「……はい」

私が返事をすると絵の具を渡され
先生と、二人きりになる

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