先生の手が触れる時

「……」

私は少し緊張しながらも優人のお母さんに電話をかける

『もしもし?』

しばらくして、懐かしい声が耳に届いた

「…あ、凪です」
『久しぶりね』
「………はい」
『で、何の用でかけてきたのかしら?』

少しキツい言い方にめげそうになる
でも、優人の顔をみてぎゅっと体に力をいれた

「優人が……私の家に来てます」
『優人が?』
「…はい。それで……一晩だけ泊めても構いませんか?」
『………優人は、帰りたくないのね』

少し寂しそうな声が聞こえ、言葉に詰まる
< 164 / 342 >

この作品をシェア

pagetop